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音と言の結晶

今日もきっと不貞寝日和
No  133

「作曲少女 ~平凡な私が14日で曲を作れるようになった話~」読了

「できるかなってDTM」 通称「できM」で有名な仰木日向さんが作曲入門ライトノベルを書かれていたので、早速買って一気読みして珍しくレビューなんて書いてみます。

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~
仰木 日向
ヤマハミュージックメディア
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 音楽経験の無い女の子が、理論的なこと、体系的なことを極力スキップして、まず1曲仕上げることを目指すお話ですが、これはよくある作曲の入門書というより、創作の入門書であると感じました。
 それを感じた一文がこちら。

「繰り返すけど、作曲を始める前にやることは『自分が何に感動してきたか』そして『何を再現していきたいか』を真剣に考えるってことだ」


 物語の冒頭でこんな名台詞をぶち込んでくる仰木さん、流石です。
「何故作りたいか」と「何を作りたいか」は不可分であり、これは作曲に限らずあらゆる創作活動に言えることだと思います。

 あとちょっと笑いながらも、

「……制作机は聖域だ。自分が感動してきたものを再現する工房、それが制作机」


 という台詞にもグッと来ました。作業机はテンションが上がるものじゃないとね。ローソン鹿島かわいい。


 一方で、理論の話をできるだけ排している本書でもキーの話は避けられなかったようで、

「音楽は全体的に文系だけど、耳コピは体育会系、キーの話は理数系だ」


 と書かれていて、「わかるわー」となりました。これ以外にも随所に「作曲あるある」ネタがあるので、経験豊富なDTMerも頷きながら楽しめる内容です。


 さて、創作入門書と言いましたが、作曲法に関して言えば、とにかく1曲仕上げることに主眼を置いたストーリーなので、若干力技もありますが、「曲を書き上げる方法にはこんなものもあるんだよ!」と示してくれます。 
 本書の主人公いろはも、先生役の珠ちゃんの勧めで例によって耳コピに挑戦するわけですが、自分が当たり前にできていることって、人に伝えようと思うとなかなか難しいもので――と、ここからは実際に読んでみてください。

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 本書の感想とはちょっとずれる思い出話。
「とにかく1曲仕上げる」という気持ちはとても大切で、1曲作ったという事実はそれだけで自分の支えになるものです。

 ぼくも作曲を始めたときはCherryというフリーのmidiシーケンサで、音源はWindowsの標準のMIDI音源で、自分の能力としては楽譜は読めるものの、聴いた音を採譜することはできないという状況でした。
 最初は合唱曲の打ち込みや耳コピを試みましたが、如何せんこれが楽しくない。そして自分は何を思ったか、写譜も耳コピもやめ、「とにかく最初に完成させるMIDIはオリジナル曲だ」という一心で作曲に挑みました。中学1年生の時のことです。

 そして、3ヶ月だったか半年だったか定かではないですが、間に「ノートPC階段飛び降り事故」を挟みながら中学2年の6月に最初の曲を完成させました。
 その曲はもちろん大した作品ではないし、今聞けばめちゃくちゃで、どこかバッハのパクりっぽいけれど、それでも大切な曲です。
 その曲があったあから、自分は今でも作曲を続けているのだと思います。

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 「女子高生エフェクターを買いに行く!!」で有名なまつだひかりさんが手掛けるイラストも素敵なので、本棚の彩りとしても是非。

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No  132

12周年

 本日でネットに音楽を投稿し始めて12周年を迎えました。日々応援いただき、ありがとうございます。

 12年といえば、小学校に入学してから高校を卒業するまでの時間に相当しますが、それだけの期間ひとつのことを続けたら凄いことになるかといえば、そうとも限らないらしく、ぼくは今日もだらだらと隙を見つけては片手間で音楽を書いています。

 これまでの間に、30を超える同人のコンピレーションアルバムに参加したり、商業流通のコンピレーションに入ったり、音楽雑誌に楽譜が載ったりもしましたが、これらの経験から言えることは、少なくとも自分の場合は、同じことを続けているだけではだめだったということです。
 同人コンピに誘われるようになったのは自分から望んで参加していって名前を売ったからだし、商業コンピも雑誌掲載もニコニコ動画で動画投稿を始めたから。
 そして、それらの裏にあるのは、より良い音、より良い曲を書くために投資したことでした。

 4年前の今頃は、作曲活動を辞めるかどうかを本気で考えていた時期で、その時はSC-88Proメインで作曲をしていて、DAWの知識もほとんど無く、限界を感じていました。
 振り返れば、2007年から4年間、ほぼ停滞していたことになります。周りには、初音ミクの登場でDTMが再び活気付いていたにも拘わらず。
 その後、どういうわけかやる気を取り戻したぼくは、Cubaseを買い、プラグインを買い、作曲環境を再構築していったのでした。そして、前述の活動成果に繋がる訳です。結局、同じことを同じ環境で同じように続けていたことによる停滞が原因だったのでした。

 その停滞期に、もうちょっと投資をしたり、周りを見ていれば、今はもっと面白いことになっていたのかもしれないですが、今さら悔やんでもしょうがないことだと、最近はようやく思えるようなりました。その時期に勉強したこと、読んだ本、得た経験は別の形で創作に生きてきているのですから。

 この12年間で付き合った範囲でも、活動を辞めていった方が少なくないです。きっと、ぼくは辞めないし、辞めると宣言することはないでしょう。今より寡作になっても、思い出したときにきっと作るし、作らなくなるのはおそらく自分が自分でなくなってしまったときでしょう。

 作ることが好きだからこそ、面倒くさがりなぼくでも活動を続けて来られましたが、それだけではなく、反応がもらえたから今も続けているのだと思います。
 自分の作品を好きだと言ってくれる人はとてもありがたい存在です。基本的に自分の為に続けている創作活動ですが、そういう人たちを喜ばせられることができれば、より嬉しいことです。

 生きているうちはまだまだ作ります。今後とも、よろしくお願いします。

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No  131

2015 M3春 新譜「キセツノキセキ」

ご無沙汰です。

今年もM3の季節です。
今回は久しぶりの参加+久しぶりのインスト盤持っていきます。

SYYS-0005 「キセツノキセキ」




Tr.1 夏の輝跡 4:50
Tr.2 秋の軌跡 3:38
Tr.3 冬の輝石 6:23
Tr.4 春の奇蹟 9:18

初回頒布
2015年4月26日
M3春 第2展示場 サ12a "空夢用紙"
頒布価格 ¥400

Music: 風原
Illustration: kagati


四季をテーマにしたインストゥルメンタルのミニアルバムです。
構想自体は6年くらい前からありましたが、大分掛かりました。
新しい環境でいろいろ試しながら作りましたので是非。


その他の頒布物

旧譜 
 「ものくろ feat. 雪歌ユフ」 ¥500
 「ゆきこい feat. 雪歌ユフ」 ¥500
委託 
 「sick」/きの(嘆きのP) ¥1,000



4月26日は東京流通センターでぼくと握手!
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No  130

【新譜】 ものくろ

 えー。久しぶりの更新です。ほぼ1年ぶりです。
 この間に色々ありました。環境も変わりました。
 作曲ペースはがっくり落ちた気はするけど、9月から固め打ちしてなんとか新譜出せます。

ものくろ / 風原 feat. 雪歌ユフ 


 
 Music & Lyrics 風原
 Art work kagati
 Manipulator こぬこ(tr. 5)
 全5曲 500円

 初回頒布 2014 11/2(日) みんなのUTAU2014 於 川口フレンディア(明日です)


 性懲りも無くユフさんです。
 2012年9月に公開した、絵から作曲した「Re: post」にまつわるお話です。
 2年くらい掛けてやっと一つの作品にまとめることができました。



 実は、Re: postは去年リリースの「ゆきこい」に収録しようという考えもありましたが、アルバムのコンセプトに合わなかったことと、作業時間が取れなかったことが理由で取りやめました。

 その後、紆余曲折あって、秋に白ユフと黒ユフのCD作りたいという話になり、企画が持ち上がったのが今年の4月の終わり。その時点で既に落ち着いて曲を作れる環境でなくなっていて、シングルCDにしようかと思っていましたが、むくむく構想が湧き上がり、結局5曲入りになりました。スケジュールが非常にタイトな中、リスケに次ぐリスケもあったけど、なんとか製作を完走、物語を完結させることができました。

 作品としては全体的に暗いです。音としては、全曲違った感じになりました。これまでに無かった音作りになっているかも。

 そして、収録曲です。

「ものくろでんわ」



 Re: postの続きのお話です。
 三連休で実家に帰って一気に作りました。アコギじゃかじゃか。


 さて、明日のみんなのUTAU2014ですが、新譜「ものくろ」に加え、旧譜の「ゆきこい」「ぱすてる」、委託頒布として、きの(嘆きのP)さんのコンセプトアルバム「sick」を置いています。
 
 どうぞよろしくお願いします。
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